群馬県コンクールが閉会し、選手の控室で、五回目の全国大会を決めた選手に、
「サイドが甘いって、審査員の先生に言われたなぁ。」と声をかけた。
「そうっすねぇ。あと四か月で何とかします。ただ、もう四か月しかねぇっす。」
初めて全国大会に挑戦する選手が隣で聞いていて、
「えっ?四か月しか?じゃぁ、わたし、遊んでる時間なんてないじゃないですかぁ。」と。
「そうだよ。俺なんか、もう五年も遊んでねぇよ。」
彼のその言葉を聞いて、私は背中を向けその場を立ち去った。気の利いた言葉の一つでもかけてあげられたのに、それが出来なかった。鼻水と涙で・・・。
何気ない会話で危機感を感じ取った初出場の選手。そして、サラッと心構えを教えた先輩選手。きっとこの人たちは、充実した四か月間を過ごすだろう。
若者が敏感に感じ取った「危機感」と確固たる「覚悟」を見せられ、私たちも遊んでる場合じゃない。